2007/08/21

おまけ企画04「神典を読む会」07/07/28【告知&レポ】

【告知文】
7月28日(土)「幕末史の裏研究」&「神典を読む会」のお知らせ
投稿者:皇室と日本を考える
投稿日:2007年 7月25日(水)04時15分26秒

当会の今月のお知らせの中にある、7月28日の企画内容です。

おまけ企画「幕末史の裏研究」&「神典を読む会」

内容■
・8月4日(土)の彰義隊展示見学会の予習として、幕末史(とくに彰義隊と関係の深い輪王寺宮(昨年の7月にやったものの補足)を中心に明治維新史の裏事情や最近の学界動向や電波説など)を簡単に、軽く短くおさらいを。
・その後、いつもの「古事記を読む会4」改め、古語拾遺・先代旧事本紀・新撰姓氏録・風土記・住吉大社神代記・海部氏勘注系図・高橋氏文ほかいろいろな「神典を読む会」。記紀以外の神典から有名重要箇所の抜粋プリントを配布・解説。

日時■2667年7月28日(土)集合:午後1時30分/終了:遅くても午後4時前後(±30分くらい)

場所■神保町すずらん通りの喫茶店「シャノアール」で集合(三省堂の裏すぐ)。集合後、近所に移動。

※お店のお茶代以外の参加費などは無料です。

※このイベントは下記↓の8月4日(土)開催のイベント「彰義隊追跡行」のオプションイベントですが、これとそれと、どちらか一方だけの参加でも歓迎です。
(mixiでの告知)
http://mixi.jp/view_event.pl?id=21100139&comm_id=334458
(2chでの告知)
http://sports11.2ch.net/test/read.cgi/offmatrix/1166609691/535
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(※この企画はお蔭様をもちまして無事に終了しました。7月29日記)
http://nihon.lar.jp/kojiki01.html

【レポ文】
「彰義隊追跡行」[オプション企画・幕末史の裏研究&古事記を読む会改め神典を読む会/7月28日(土)]
(この内容の告知はhttp://8809.teacup.com/imperial/bbsにあります)

今回は8月4日(土)の本イベントにのぞむにあたり、7月28日(土)にオプション企画を設け、彰義隊や上野戦争の歴史的な背景について補足説明をおこないました(この内容の告知はhttp://8809.teacup.com/imperial/bbsにあります)。

詳細なレジュメを用意する予定でしたが残念ながら今回は時間不足で間に合わず口頭説明のみになりましたが、彰義隊の結成に至るまでの詳細な流れ、彰義隊の主要メンバーの人物像についての裏話、そしてあとはオマケですが明治天皇替え玉説の出所など電波業界の裏事情について若干話しました。

またいつもの「古事記を読む会」を今回は「神典を読む会」と改め、「風土記」・「住吉大社神代記」・「高橋氏文(全文)」・「古語拾遺」・「新撰姓氏録」・「海部氏勘注系図」・「先代旧事本紀」・「八幡愚童訓」の重要箇所を原典からコピーした52枚に達する膨大な資料を配布。これだけで5000円以上の価値はあったかもw 要点としては以下の通りです。

「風土記」は出雲・播磨・肥前・常陸・豊後の五風土記は、有名なので今回は本文は用意せず、珍しいものとして、それ以外の逸文(摂津・伊勢・近江・陸奥・若狭・越前・越後・丹後・因幡・備後)の本文を資料としました。五風土記は解説のみで、出雲風土記にのみ見える「国引き神話」、播磨風土記の「天日鉾命と大己貴命の戦い」、常陸風土記の「夜刀(やと)の神」についての諸論を紹介。以後、用意した資料を読みながら、摂津風土記の「阿加留比売伝説」、伊勢風土記の「神武天皇伊勢平定伝説」、近江と陸奥と丹後の三ヶ国の風土記の「天羽衣(豊受姫)伝説」の比較、因幡風土記の「武内宿禰伝承」、備後風土記の「蘇民将来神話」について解説。

「住吉大社神代記」は、日本書紀より古事記に近い神話をもっています。古代エジプト神話にも共通するといわれる、太陽神が舟に乗って出るという記紀にない神話も有名。この部分を実際に読んで、この解釈には実は疑問があることを示しました。また蘇我氏を含む多くの氏族の祖である竹内宿禰が本書では孝元天皇ではなく開化天皇の子孫になっている部分を読み、なぜこのような伝承の違いが生じたのかその経緯と、どっちが正しいのかを考察。また古事記で崩年干支記事が欠落している天皇でも本書には奇跡的に残っている部分を示し、歴史上極めて貴重な資料であることを訴えました。

「高橋氏文(全文)」は、比較的短いものですのでその全文全貌を資料にしました。内容はあとからゆっくり読めばわかるので、それよりも書かれた由来や周辺事情(律令官僚制に適合しきれなかった古代氏族が利権を確保しようと相互に正統性を争いあった時代情況など)の説明に時間を割きました。高橋氏の祖で料理の神様「磐鹿六狩命(いわかむつかりのみこと」は、ある世代から上ならマンガ「包丁人味平」でもご存知。

「古語拾遺」は、神代文字否定説の根拠の一つとなっている冒頭文「上古の世、いまだ文字あらず(以下略)」に批判を加え、造化の三神の高皇産霊神と神産霊神の間に津速産霊神がいるという珍説を紹介。また記紀にない貴重なものとして「三蔵」設置の記事、「御歳神」の神話を資料に沿って解説。また古語拾遺ができた大同二年(AD807)は宗教民俗学的にきわめて重要で神秘的な年代として多用される年であることを指摘。

「新撰姓氏録」、皇別氏族や神別氏族についてはよく取り上げられますので、今回はあまり注目されない諸蕃氏族(帰化人系氏族)の部分をおもに資料にしました。皇別では、初代の任那総督を出した吉田連氏(孝昭天皇後裔)を扱い、諸蕃では電波説も含めて何かと有名な秦(はた)氏・漢(あや)氏について詳細な解説を加え、また燕国王公孫淵よりでた常世(とこよ)氏、箕子朝鮮の王準からでた麻田(あさだ)氏、衛氏朝鮮の王満(燕相国衛満公)からでた筆(ふで)氏についても他では読んだり聞いたりできない詳細な研究報告ができたと思います。魏の文帝(曹丕)の子孫、呉の孫晧(孫権の子)の子孫など、他にもふれたい物件は山ほどありましたがそこらは軽くふれるに留まりました。

「海部氏勘注系図」は、電波説の一部では「卑弥呼と台与が出てくる系図だ」と騒がれてますが、原書のコピーをもとにそんな事実があるといえるのかどうか検討を加え、この系図を扱った論述はいくつかあるのに卑弥呼がどうのということには一言もふれてない論文の方が多い理由をあえて考えてもらいました。

「先代旧事本紀」は、冒頭部分の神代本紀と神代系紀をだして、記紀と異なる、ある意味興味深く、またある意味異端な感じを知ってもらいまあした。天神本紀と天孫本紀では、記紀にない「瓊々杵尊の兄・饒速日命の降臨」という異端ながらも有名な神話の該当部分の全文を資料として出しました。先代旧事本紀は、電波説の論者が恣意的に引用することの多い書物なので、騙されることのないように、全文を実際に入手してもらい免疫をもってもらうという主旨です。もちろんそれを読みながら、書かれてる内容の正確な解釈と価値評価を展開。国造本紀も資料としては重要ですが、今回は分量の関係で省略しました。ネット上にも一覧があると思います。

「八幡愚童訓」は中世の伝説なので、今回はあくまでオマケです。開化天皇以来、外国勢力が何度も日本を侵略にきたことが書かれています。これは史実性のない説話ですが、一部、貴重な古代史資料から援用したことが判明している部分について指摘しました。

(本当はさらに「上宮記」と「天書」もつける予定でしたが間に合わず)

以上の諸書には、むろんそれぞれに簡単な解題をレジュメとしてつけました。この日のこれらの解説すべての具体的な内容について報告するのは、あまりに膨大な情報量になるので詳細な紹介は省きますが、語るべき箇所として予定していた部分とそれぞれの議論・問題点などは時間いっぱいまでどうにかぎりぎり話し切りました。それだけに、やや駆け足な感じになってしまったかも知れません。しかし、通常の書店で読める通俗本やネット検索などでは知る事のできないかなりディープな小ネタを詰め込みました。ただ、今回はやや古代史関係のネタに偏り、神道関係のネタが少なめな傾向がありました。参加者の趣味嗜好にもよりますが今後はこのへんも修正していきたいと思っています。